
みなさんは中国と聞くと、まずどんなイメージが湧きますか?汚い、ゴミが溢れている、空気が悪い、マナーが悪い...おそらく中国へ実際に行かれたことがない大半の方は中国に対してネガティブなイメージが浮かぶと思います。実際に私もそうでした。
2014年の冬、主人の会社から上海赴任を告げられた当初、私はちょうど娘を妊娠中でした。ただでさえ不安でストレスだった妊娠生活に、さらに追い打ちをかけるように舞い込んできた駐在話。これからどうしようという不安ばかりが頭をよぎりました。中国赴任の話を友人や知人に相談すると、嫌でもネガティブな言葉が飛び交うので、それが嫌で口を閉ざしました。
それにしても、なぜ私たちはこんなにも中国に対してネガティブなイメージを持つようになったのでしょうか?上海での3年間に及ぶ駐在生活を終えて、私が持つ中国のイメージは180度変わりました。実際に住んでみることで、日本のメディアでは流れないような美しい景色、近未来的な都市や人々の優しさを知ったからです。この記事では、そんな知られざる中国の一面をご紹介したいと思います。

上海とは?新と旧が融合する街
中国最大の国際都市とも言われている上海は、商業、金融、工業、交通などにおける中心地でもあり、世界中からビジネスが集うグローバル都市でもあります。ここ数年で、急激な発展を遂げた上海では、100階以上の高層ビルが立ち並ぶ近未来的な街並みが楽しめる「浦東(プードン)」、伝統的な中国の建物や庭園が今もなお多くの人を魅了する「豫園(よえん)」、黄浦江沿いに並ぶ歴史的建造物がレトロな雰囲気でおしゃれな「外灘(わいたん)」、旧フランス租界の街並みを再現したリノベーションスポット「新天地(しんてんち)」など、一つの都市で色んな風景を楽しむことが出来ます。

子育てがしやすい環境
中国では、1979年から2015年まで一組の夫婦につき子供を一人に制限する「一人っ子政策」という国の政策がありました。この政策の影響か、上海に住んでいた頃は「子供は宝物」「子供を産んだおかあさんも宝物」という考えの方々に随分と良くして頂きました。例えば、電車などの交通機関を利用する際に娘を連れていた場合、90%くらいの割合で席を譲って頂いたり、娘が公共の場で泣き始めると周りが「なんて可愛い泣き声なのかしら」「こんなに可愛い子いないわよ」と一緒になってあやしてくれたり、レストランに入ると店員さんがこぞって子供のお守り役を引き受けてくれました。そんな訳で、上海に住んでいるときは一度たりとも子供を連れていることで気後れするようなことはありませんでした。
親子カフェ・室内プレイルーム
上海はおしゃれで可愛いプレイルームが充実しています。また、土地があるおかげかその平均サイズも日本の一般的なキッズルームと比べて倍くらいの大きさです。プレイルームは何か所かのセクションに分かれており、キッチンエリア、ブロックエリア、滑り台&ボールプール、プレイジム、トランポリン、工作エリアなど子供たちが心行くまで楽しめるような構造になっています。大型のプレイルームだとメリーゴーランドやアトラクションが設備されているところもあります。また、プレイルームには専門のnannyが付いていて子供たちの面倒を見てくれたり、一緒に遊んでくれたりするので、親も安心して過ごせます。
習い事・託児
上海では、0歳児から楽しめる幼児教室やリトミックのクラスがいくつかあります。日本人のみならず、外国人の駐在も多い大都市だからこそ学べる言語も英語、日本語、フランス語、スペイン語、中国語と多様にあります。娘は生後11か月頃から親子で通えるプレスクールに通い、同じ月齢のお友達と一緒に音楽に触れたり、アートを楽しんでいました。
また、上海には日本人向けの託児所が充実しています。日本で託児所や保育所と聞くと、「保護者が仕事だったり、何らかの理由により乳幼児を預ける必要があり、その際に保育の手助けをしてもらう場所」というイメージがありますが、上海では子供の教育もかねて幼少期から我が子を預けるという方針があります。週に2-3回、午前中のみでも託児に預けて同じ月齢の子たちを一緒に過ごす環境を与えることで、思いやりの心や社交性を自然と育みます。

絆を大切にする文化
私が実際に友人や知人に聞いた、中国人に対する一般的なイメージは、「声が大きい」「マナーがー悪い」「歩きたばこ」などやはりどこかネガティブなものでした。これは文化の違いがもたらす影響が大きいと私は考えます。
日本は世界的にも非常にマナーに厳しい国です。公共の乗り物内での電話通話は禁止だったり、カフェやレストランで大きな声を出すのもNG、子連れで行ける場所も限られています。そんな環境になれた私達が、公共の場で大きな声で話す中国人をみると無意識に「マナーが悪いな」と感じてしまうように、海外の人から見て「日本人のこういうところは下品だな。」と思われる行為が私達日本人にもあります。例えば、ラーメンを食べるとき、私達はわざと音を立てて食べる文化があります。こういったすすり音というのは慣れていない欧米人からすると非常に下品に感じるそう。このように本人たちは何とも思っていない文化の違いでお互いの印象が左右することは多々あります。そして、この文化の違いが私達が一般的にとらえている中国人のイメージを悪くしているのです。
上海に引っ越して、私はまず人々の温かさに胸を打たれました。まだ知り合いと呼べる相手が一人もいなかった当初、娘を連れて自宅付近のカフェ巡りをしていました。そこで見つけた一軒のお気に入りカフェ。何回か通っているうちに、カフェのオーナーとスタッフの女の子に覚えて頂き、数か月後にはお店の賄いまで一緒に頂く仲になりました。
こうしてお付き合いを続けていくうちに、中国人は一見冷たく見られがちですが、非常に情に厚く、友人や家族との絆を大切にする人種だという事がわかりました。一度仲良くなると家族のように温かく接してくれます。特に子供が大好きなお国柄なので、娘と一緒に行動をしていると、近所に沢山親戚のおばさんが出来たような感覚で私生活を過ごせました。

充実した医療機関や日本の百貨店
上海には高島屋、伊勢丹、大丸などの日本の有名百貨店がいくつかあります。こちらの百貨店では、日本のブランド服や日常用品を購入できるほか、地下にはお総菜売り場やパン屋さんなんかも揃っています。日本と比べると価格帯は高くなりますが、日本から買い忘れたものなどがあった場合、最低限の生活必需品は手に入ります。中国の富裕層の間では、絶対的な信頼がおける日本の商品を日常生活に取り入れている方も多くいます。化粧品、薬、食品に関しても日本製のものは非常に人気があります。
また、上海では日本人駐在者向けの病院やクリニックが充実しています。日本語で受信できるクリニックだけでも優に10軒は超えます。お子様用の予防接種なども日本から取り寄せた薬品を取り扱っている病院もあるので、海外に住みながら日本と変わらない医療を受けることが出来ます。
上海ユナイテッドファミリー病院
診療科目: 救急センター、家庭全科、産婦人科、小児科、内科、外科、内視鏡科、整形外科、物理療法、放射線科、中医学
住所: 長寧区仙霞路1139号(×林泉路)
電話: 021-2216-3972(日本語)
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上海の大気汚染事情
中国といえば、大気汚染が気になりますよね。私自身も上海に住んでいた時に真っ白いスモッグの影響で10メートル先のビルが見えないという体験をしたことがあります。当初は、日本ではあり得ないようなおびただしい量の大気汚染物質が飛んでいたことかと思います。そんな深刻問題にも値する大気汚染ですが、ここ数年で徐々に改善されているとのこと。そこで、中国環境状況公報による、大気質レベル(AQI)をチェックしてみると、確かに2013年から2016年までの数値が改善されていました。現在においてもPM2.5による空気質の全体的な改善を目指し、石炭ボイラー、塗装などのVOC対策、自転車・ガソリンの排出対策などを策定しています。しかし、空気汚染はまだまだ発生しているのが現状でもあるので、中国に行かれる際はPM2.5対策グッズを持参することをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、日本ではあまり報道されない、知られざる中国上海の良い部分をピックアップしてご紹介しました。もちろん日本で報道される中国の姿も嘘ではありません。自転車に山のようにゴミを積んで器用に運んでいる人だったり、電線を自宅の洗濯竿のように私物化している住民やブラジャーをマスクを替わりに付けている女性...います。しかし、これは中国で観る一部の世界でしかありません。上海に実際に住んでみて180度変わった中国のイメージ。この記事を通して、中国上海はこういう一面もあるんだよということを頭の片隅にでも入れておいて頂ければ嬉しいです。
